ビットコインのハッシュレートとは?調べ方や今後の動きを解説

ハッシュレートって何?

こう聞かれて、あなたは答えることができますか?

よく聞く言葉だけど、実はよく知らない。
知っているようで、実はよく知らない。

そんなハッシュレートの意味からビットコインの価格との関係性に至るまで、暗号通貨初心者にも理解できるよう、わかるように解説します。

これであなたも今日から、「ハッシュレートって何?」と聞かれても、自信を持って答えられます。

目次

ハッシュレートとは

ハッシュレートとは、一言で言うと採掘速度です。

具体的には、ビットコインをマイニングする際、1秒間に実行される計算回数です。

マイニングとは、新しいブロックを生成し、取引データをブロックチェーンに繋げる行為です。

新しいブロックを生成し、取引データをブロックチェーンに繋げるには、ハッシュ関数という複雑な計算をし、正しいハッシュ値を求めなければなりません。

正しいハッシュ値を求めるには、新しいブロックにいくつかのトランザクションデータが格納された後、前のブロックの末尾のハッシュ値とナンス(Nonce)と呼ばれる32ビットの値をハッシュ関数に代入し、条件を満たすハッシュ値を求めます。

ナンス(Nonce)とは?

ナンス(Nonce)とは、number used onceの略です。
直訳すると、一度だけ使われる数という意味です。

ナンスは暗号通貨のマイニングに使われる使い捨ての32ビットの値です。

マイニングではナンスはある条件のハッシュ値を求めるために用いられます。
条件を満たすハッシュ値が得られるまで、ナンスを変えながら同じ計算を繰り返します。

そして、一番最初に条件を満たすハッシュ値を得られるナンスを見つけた人が生成されたブロックをブロックチェーンにつなげる権利を得られ、マイニング報酬を手にすることができるのです。

このようなマイニングの仕組みは「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」と呼ばれています。

ハッシュレートの単位

ハッシュレートの単位は「hash/s」(H/s)です。
1秒あたりの計算回数を表し、単位が大きいほど計算回数が多くなります。

例えば、「1H/s」は1秒間に1回の計算が行われます。

なお、ハッシュ値を得るためには膨大な量の計算を行わなければならず、H/sだけでは表しきれないので、K(キロ)やG(ギガ)などの単位が付きます。

以下、ハッシュレートの単位と演算速度です。

単位演算速度
K(キロ)H/s1,000回/1秒間
M(メガ)H/s100万回/1秒間
G(ギガ)H/s10億回/1秒間
T(テラ)H/s1兆回/1秒間
P(ペタ)H/s1,000兆回/1秒間
E(エクサ)H/s100京(けい)回/1秒間
ハッシュレートの単位

いやいや、いくらなんでもEH/s(1秒間に100京回)はないでしょ!?

思わず、こんな風にツッコんでしまったかもしれません。

しかし、2020年頃から100EH/sを超え、2022年には200EH/sを超えました。

なお、ハッシュレートは採掘速度だけではなく、マイニングで使用するコンピュータのCPU、GPU、マインニングマシンの演算処理能力の単位としても使われます。

ハッシュレートの調べ方

ハッシュレートはBTC.COMやBlockchain.comなどのサイトで確認できます。

出典:BTC.COM

BTC.COM:https://explorer.btc.com/ja

出典:Blockchain.com

Blockchain.com:https://www.blockchain.com/

リアルタイムのハッシュレートを調べる場合、BTC.COMがおすすめです。
(Blockchain.comではリアルタイムのハッシュレートは調べられません。)

Blockchain.comはビットコインの価格とハッシュレートの推移を同時に見れるため、ビットコインの相場を予想する時などに便利です。

WikiFX編集部

リアルタイムのハッシュレートを調べるならBTC.COM、ビットコインの価格の推移も一緒に見るならBlockchain.comと使い分けましょう。

ハッシュレートの見方

リアルタイムのハッシュレートはBTC.COMで調べられます。

そこで、BTC.COMでのハッシュレートの見方を解説します。

まず、BTC.COMにアクセスすると、トップページの各暗号通貨のデータ左上にハッシュレートがリアルタイムの表示されています。

出典:BTC.COM

ハッシュレートの推移を見たい場合は履歴チャートで見れます。

トップ画面上部の「ブラウザ」という箇所にマウスを合わせると、各暗号通貨が表示されるので、推移を見たい暗号通貨の「ハッシュレート」をクリックしてください。

すると、グラフが表示されます。

出典:BTC.COM

この履歴チャートから、ハッシュレートが年々上昇していることがわかります。

また、ハッシュレート分布も見ることができます。

ハッシュレート分布とは、全ハッシュレートに占める主要なマイナーの割合です。
この割合が多いマイナーほど、計算力があり、マイニング報酬を手にする可能性が高いと言えます。

ハッシュレート分布は、「ブラウザ」の「プールランキング」をクリックすると見れます。

出典:BTC.COM

マイニングの報酬は1位総取りです。
そして、計算力が物を言うので、ハッシュレート分布を見て、シェアの多いプール(マイナー)に参加すると良いでしょう。

ハッシュレートとマイニング難易度の関係

ビットコインのブロックチェーンは10分ごとにブロックが生成されるように設計されています。
しかし、マイニングマシンの性能向上やマイナーの増加によって計算力が向上すると、10分以内でブロックが生成されてしまいます。

そこで、ブロック生成時間を10分間に1回に保つため、ビットコインは採掘難易度(ディフィカルティー)を自動で調整します。

採掘難易度の調整は2016ブロックごと(2週間に1回)に計算力に基づいて行われます。

この時、計算力が上がっていれば採掘難易度は上がります。
逆に計算力が下がっていれば、採掘難易度は下がります。

採掘難易度の調整方法はハッシュ値の頭の数桁のゼロの桁数を増減させます。
ゼロの桁数が多くなるほど、採掘難易度は上がります。

ビットコインの価格とハッシュレートの関係

一般的に、ビットコイン(他の暗号通貨を含む)の価格とハッシュレートは相関関係にあると言われています。
例えば、ビットコインの価格が上昇するとハッシュレートが上がり、ビットコインの価格が下落するとハッシュレートが下がります。

なぜビットコインの価格とハッシュレートは相関関係にあるのでしょうか?

ハッシュレートが上がる主な理由はマイナーの増加です。

ビットコインのマイニングには設備や電力など多くのコストがかかります。
報酬として手に入るビットコインの価格がコストを上回ればマイナーはマイニングを行います。
ビットコインが上昇すると予測するマイナーが増えるほど、マイニングに参加するマイナーは増えます。

なので、マイナーが増えているということはビットコインの価格が上昇すると言えるのです。
そのため、「ビットコインの価格の上昇 = マイナーの増加 = ハッシュレートの上昇」という図式が成り立ちました。

逆に、ビットコインの価格が下落し、マイニングのコストの方が上回ると、マイニングしても稼げないため、マイナーは減ります。
マイナーが減れば計算力が下がるため、ハッシュレートも下がります。

その結果、ビットコインの価格とハッシュレートは相関関係にありました。

出典:Blockchain.com

上のチャートはビットコインの価格とハッシュレートの推移を示したチャートです。
(黒い線がビットコインの価格で、青い線がハッシュレートです。)

このチャートからわかるように、2017年まではビットコインの価格もハッシュレートも同じ動きをしていました。
(黒い線と青い線がほぼ重なっています。)

しかし、2018年からビットコインの価格とハッシュレートの動きが合っていないことがわかります。

そして、現在ではビットコインの価格とハッシュレートは逆相関関係になっています。
(ビットコインの価格が上昇するとハッシュレートが下がり、ビットコインの価格が下落するとハッシュレートが上がります。)

出典:Blockchain.com

2018年以降、なぜ突然ビットコインの価格とハッシュレートは逆相関関係になったのでしょうか?

理由はわかりません。

ただ、一つ言えることは、2018年以降、ビットコインの価格とハッシュレートの相関関係は崩れたということです。

なぜ崩れたかと言うと、この時期にマイニングマシン(ASIC)が登場し、計算力が一気に上昇したからです。

ハッシュレートが上がっても、ビットコインの価格が上昇しない原因に、次の説があります。

ビットコインのマイニングでは1番にならないと報酬を得られません。
1番になるにはマイニングマシンを手に入れるしかありません。
しかし、マイニングマシンは高額です。

なので、多くのマイナーはマイニングマシンを手に入れるため、報酬で手に入れたビットコインを売るようになりました。

その結果、ハッシュレートが上がっても、ビットコインの価格は上昇しないという展開になり、徐々に相関関係が崩れていきました。

2018年以降のハッシュレート上昇の理由はマイナーの増加だけではなく、マシンの性能の向上もあります。

WikiFX編集部

マシンの性能は年々向上するので、ビットコインの上昇・下落に関わらず、ハッシュレートは基本的に上昇傾向にあります。

ハッシュレートが上がる理由

ハッシュレートは上がり続けています。

2022年10月4日には史上最高値を更新し、258EH/sを付けました。

ハッシュレートが高いとどうなる?

以前は、ハッシュレートが上がると、ビットコインの価格も上がっていました。

しかし、現在は状況が変わり、ハッシュレートが258EH/sの史上最高値を付けても、ビットコインの価格は低迷していました。

ビットコインの価格が上がらない現在、ハッシュレートが上がるほど、マイナーの競争が熾烈になってマイニングマシンの性能が上がって電気代などのコストが上昇するため、ハッシュレートが高いメリットが無いように思えます。

ハッシュレートが高いと一体、何か良いことがあるのでしょうか?

実を言うと、ハッシュレートが高いと、ビットコインネットワークのセキュリティが高くなります。

ハッキングの1つに51%攻撃というものがあります。
51%攻撃とは、ネットワーク全体の採掘速度の 51%を支配して、不正な取引を行う行為です。

ハッシュレートが高くなると、採掘速度の 51%を乗っ取るのが困難になるため、セキュリティが高くなるのです。

なので、ハッシュレートが高くなると、暗号通貨投資家や保有者やユーザーにとって、より安全になるということなので、良いことと言えます。

現在、ハッシュレートが上がり続ける主な理由はマイニングマシンの性能の向上ですが、他にもいくつか理由があります。

マイニングマシン価格の下落

マイニングの勝者となるには、高性能のマイニングマシンを手に入れなければなりませんが、マイニングマシンは高価です。

しかし、状況が一変しました。

2022年、ビットコインを含む暗号通貨市場は暴悪し、低迷しました。
そのため、多くのマイナーが利益を出せずに苦しみました。

そんな苦境にあえぐマイナーを救うため、ビットメイン(Bitmain)社などのマイニングマシンメーカーはアントマイナーの価格を大幅に引き下げました。

そのため、多くのマイナーが安くなったマイニングマシンに切り換えました。

また、グレイスケール(Grayscale)社などの大手暗号通貨企業も、ビットコインマイニング用ハードウェアへの投資を発表しました。

マイニングマシンの価格が下落した結果、より多くのマイナーがマイニングマシンでマイニングするようになり、ハッシュレートが急上昇しました。

イーサリアムマイナーのビットコインへの移動

2022年9月、イーサリアムはザ・マージ(The Merge)と呼ばれるアップデートを完了させました。

ザ・マージによってイーサリアムはプルーフ・オブ・ワーク (PoW:Proof of Work)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS:Proof of Stake)に移行しました。

PoW、PoSとは?

PoWとPoSはマイニングの仕組みです。

PoWはプルーフ・オブ・ワークと言うように、作業(ワーク)によって承認(プルーフ)を行います。

PoWでは取引が発生したら、マイナーがマイニングし、承認を行います。

そして、一番最初に計算を終えた人が報酬を手にします。

PoSはプルーフ・オブ・ステークと言うように、保有(ステーク)によって承認(プルーフ)を行います。

暗号通貨の保有量が多く、保有期間が長いほど、報酬を得られる可能性が高くなります。

イーサリアムのマイニングはザ・マージによって仕組みが突然変わり、今まで使っていたマイニングマシンでは続けられなくなりました。

そのため、イーサリアムのマイナーの一部は他の暗号通貨へのマイニングへと移りました。
その移った先の一つがビットコインでした。

まとめると、ハッシュレートが上がる理由は以下です。

  • ビットコインの値上がり
  • マイナーの増加
  • マイニングマシンの性能向上
  • マイニングマシン価格の下落
  • イーサリアムマイナーの移動

ハッシュレートが下がる理由

ハッシュレートの上昇傾向にありますが、時には大きく下落することもあります。

例えば、ここです。

出典:Blockchain.com

これは、2021年5月の中国政府がマイニングを禁止した時期です。

この時期、中国政府はマイニング業者を徹底的に取り締まりました。
そのため、中国国内のマイニング業者は国外へ逃げました。

なお、2021年5月まで中国はマイニング量が第1位で、マイニングシェアの50%を占めていました。

そんな中国が一夜にしてマイニング禁止になったため、この時期に一気にハッシュレートが下落したのです。
(さらに、このニュースに投資家は嫌気がさし、ビットコインの価格も暴落しました。)

しかし、他の国では引き続きマイニングが行われる、中国から逃げたマイニング企業が他の国でマイニングを行う、ビットコインバブルでマイナーが増えたなどの理由により、ハッシュレートは結局すぐに元の水準に戻り、さらに上昇しました。

中国のマイニング禁止以外にも、ハッシュレートが下がった事件があります。

例えば、2022年12月23日から25日にかけ、ハッシュレートが突然276 EH/sから169 EH/sまで35%以上急落しました。
その理由は、大寒波によってマイニング業者が一時稼働を停止したためです。

以上のことから、ハッシュレートが下がる理由は次のようなことが考えられます。

  • ビットコインの値下がり
  • マイナーの減少
  • 暗号通貨やマイニングに対する国の規制
  • 異常気象や災害などによるマイニング業者の稼働停止

なお、これらの理由によりハッシュレートが下がったとしても一時的であるため、今後もハッシュレートは上昇すると思われます。

まとめ

ハッシュレートは暗号通貨の採掘速度です。

ビットコインの価格とハッシュレートは相関関係にあり、ビットコインの価格の価格が上がるとハッシュレートが上昇し、ビットコインの価格が下がるとハッシュレートは下落します。

そのため、ハッシュレートの動向からビットコインの価格の動きを予測する人も少なくありませんでした。

しかし、マイニングマシンの登場によって計算力の急上昇し、その関係は崩れました。

ビットコインの価格は上がったり下がったりと大きく変動していますが、ハッシュレートは中国政府のマイニング禁止などの事件がありましたが、右肩上がりです。

マイニングマシンの性能は今後も向上していくので、ハッシュレートは今後も上昇していくことでしょう。

現在はハッシュレートの動きがビットコインの価格に影響を与えなくなりましたが、何らかの政策の変化やイノベーションによって、今後は影響する状況も出てくるかもしれません。

WikiFX編集部

今後もハッシュレートの動きには注意を向けましょう。

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この記事を書いた人

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