ウクライナ戦争がビットコインへ与える影響とは?徹底解説

2021年のビットコインのバブルから一転し、2022年は大きく低迷しています。

ビットコイン市場が長く続く原因の一つがロシアウクライナ戦争です。

2022年の北京の冬のオリンピックが終わってすぐ、ロシア軍がウクライナ国境に続々と集まりました。
きな臭い感じはしましたが、誰もが「まさか戦争はないだろう」と思っていたその時、ロシアがウクライナに攻め込み、戦争が始まりました。

当初は短期間で終わると思われていた戦争も、ウクライナ軍の必死の抵抗、西欧諸国の支援、ロシア軍の近代化していなかったなどの理由で、長引いています。

ロシアウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰と新型コロナウィルスのパンデミックによるダブルパンチで世界経済は後退。

この影響を受け、ビットコインも低迷しています。
今後ビットコインはどうなってしまうのでしょうか?

この記事からわかること
  • ロシアウクライナ戦争のビットコインへの影響
  • 戦争当事国での暗号通貨を巡る状況
  • 今のロシア・ウクライナ情勢での暗号通貨のおすすめ投資方法
目次

ロシアのウクライナ侵攻から始まったビットコインへの影響

2003年のオレンジ革命から始まるウクライナ危機は2022年2月24日、ロシアのウクライナへの軍事侵攻で遂に全面戦争にまで発展しました。

2021年11月から下落し始めたビットコインはロシアウクライナ戦争を影響を受け、低迷を続けています。

2月24日、ロシアのウクライナ東部への軍事侵攻のニュースが流れると、ビットコインを含む暗号通貨は売られ、市場は一斉に下落しました。

ビットコインは24時間で9%以上下落し、34,442ドル(約428万円)となりました。
(下のチャートの赤枠の部分です。)

2022年1~3月のビットコインのチャート
出典:coinmarketcap

ロシアのウクライナ侵攻開始から、西欧諸国はロシアに対して、次々と制裁を加えました。

ロシアへの制裁に対するニュースでビットコインは乱高下しました。

2月26日、米国、英国、EU、カナダは共同声明で、「ロシアの主要銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会:Society For Worldwide Interbank Financial Telecommunications)ネットワークから排除する」と発表しました。

3月1日、米国財務省は、米国人が制裁対象となったロシア人(オリガルヒ)および企業との暗号資産を使用した取引を禁止する新しい規則を発表しました。
このニュースを受け、ビットコインは24時間以内14%以上の急上昇が発生し、一時的には43,000ドルを超えました。

そして、ビットコインの時価総額はロシアルーブルを超えました。

3月3日、フランスのブルーノ・ルメール(Bruno Lemaire)財務相は、「EU財務相が暗号通貨を含む対ロシア制裁の強化に合意した」と発表しました。

また、米国のジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官も、「米財務省はロシアが制裁を回避するための手段として暗号通貨を監視する」と述べました。

このニュースの受け、ビットコインは3月3日から2日間で44,000ドルから39,000ドルに急落しました。

2022年3月24日、ロシア連邦議会エネルギー委員会のパヴェル・ザヴァルニー(Pavel Zavalny)委員長は記者会見で、ロシアは石油や天然ガスなどの天然資源の輸出の決済方法としてビットコインを受け入れる意思があると発表しました。

ビットコインにとって好材料が続き、3月22日から30日にかけては41,000ドルから47,000ドルまで上昇しました。

2022年3月のビットコインのチャート
出典:coinmarketcap

このまま、ビットコインの価格は上昇するのかと思われました。
しかし、当初は短期で終わると思われた戦争は長期化し、穀物とエネルギー不足が起き、世界中がインフレの嵐に巻き込まれました。

そのため、多くの国々でインフレを抑えるため、金融引き締め政策が取られ、金利が引き上げられました。
特にアメリカのFRBによる利上げのペースはすさまじく、過去に例のないスピードで利上げをしました。

その結果、多くの投資家が資産をリスクの高いものから低いものへ移動させました。

ビットコインは価格変動の激しさから、リスクの高い資産と見なされ、多くの人が売却しました。

その結果、2022年5月から、ビットコインは暴落し始めました。

2022年4月以降のビットコインのチャート
出典:coinmarketcap

かつて、ビットコインは有事の際の安全な避難資産と見なされていました。

2013年のキプロス・ショックの際には、ビットコインは富裕層の避難先となりました。

キプロス・ショックとは?

キプロス・ショックとは、2013年3月、キプロス共和国で起きた金融危機です。

リーマンショックやギリシャ危機によって経済が悪化したキプロスに対してEUが金融支援する条件として、銀行預金への課税を求められ、さらに預金引き出し制限や海外送金規制などの資本規制も行われました。

この騒動を見た多くの人が「法定通貨が信用できない」と思い、そして中央管理者がいないため政府ができないビットコインに注目が集まりました。

その結果、富裕層を中心に法定通貨の避難先として、ビットコインが買われ、バブルとなりました。

こちらの記事に、キプロス・ショックを含めたビットコインの過去の歴史をまとめたので、合わせてお読みください。

キプロス・ショックでは有事の資産となったビットコインでしたが、ロシアウクライナ戦争では有事の資産になれませんでした。

ロシア・ウクライナ両国のビットコイン情勢

ロシアウクライナ戦争で戦争当事国の両国ではビットコイン情勢に変化がありました。
両国の情勢をそれぞれ見ていきましょう。

ウクライナのビットコイン事情

ウクライナは元々、暗号通貨に対して積極的でした。

例えば、ウクライナ政府はデジタル転換省という政府機関があります。

また、暗号通貨のユーザー数で世界トップ5にランクし、多くのスタートアップ企業があります。

さらに、世界で三番目に大きいザポリージャ原子力発電所のすぐ隣にビットコインのマイニングのためのデータセンターが建設されています。

そして戦争により、暗号通貨の動きが加速しました。

ウクライナはビットコインによる寄付を呼び掛ける

2022年2月26日、ウクライナ政府は公式Twitterアカウントで寄付を呼びかけました。

ウクライナ国民と共に立ち上がろう。
現在、暗号通貨による寄付を受け付けています。
ビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)、テザー (USDT) です。

BTCウォレットアドレス:357a3So9CbsNfBBgFYACGvxxS6tMaDoa1P
ETHウォレットアドレス:0x165CD37b4C644C2921454429E7F9358d18A45e14

なんと、1日で約14億円も暗号通貨の寄付が集まりました。

暗号通貨の新たな可能性の扉が開いた瞬間となりました。

3ヶ月後には180億円以上の暗号通貨での寄付が集まっています。

なお、ウクライナへの寄付に乗じた詐欺も多発しています。

情報セキュリティー会社トレンドマイクロの分析によると、ウクライナへの寄付を募る不審なメールが世界各地で120万件以上確認されています。
また、偽の募金サイトに誘導する不審なURLも1万7000件以上確認されています。

ウクライナ大使館も注意を呼びかけています。

騙されないためにもウクライナ政府は公式Twitterアカウントで公表されているアドレスに直接送金すると良いでしょう。

寄付の詐欺に騙されないためにも、不審なメールを受け取っても無視して、ウクライナ政府が公表したアドレスに振り込みましょう。

ところで、ウクライナに寄付をしようとした人の中には、こんな風に思った人もいるかもしれません。

寄付したお金で武器を購入されたら、戦争に加担したことになるのでは…。

ウクライナのデジタル変省のボルニャコフ副大臣によると、武器の購入は特別で厳しい条件でおこなわれるため、集まった寄付はドローン、防弾チョッキ、医薬品の購入など非殺傷装備に使われています。

なので、安心してください。

寄付された暗号通貨は、換金などを行わず、そのまま使っています。
例えば、ドローン、防弾チョッキ、医薬品などを寄付された暗号通貨でそのまま支払っています。

そのまま使えるというのも、暗号通貨での寄付の新しいメリットの一つです。

ロシアウクライナ戦争を通して、暗号通貨の寄付の可能性が示されました。

暗号通貨の寄付は今後大きく伸びる可能性があります。

ロシアウクライナ戦争では、暗号通貨の寄付の有効性が示されました。
今後、暗号通貨の寄付は増えていくことでしょう。

侵攻後にウクライナは暗号通貨を合法化

2022年3月16日、ウクライナのゼレンスキー大統領は暗号通貨の取引を合法とする法案に署名しました。
これにより、ウクライナで暗号通貨は合法化されました。

しかし、実を言うと、1年前の2021年、暗号通貨取引の合法化法案は議会を通過したのですが、ゼレンスキー大統領に承認されませんでした。

なぜ、たった1年で態度が180°変わったのでしょうか?
ウクライナの暗号通貨の合法化の理由は、「ロシア侵攻によるウクライナ情勢と関係があるのでは?」と思ったかもしれません。

しかし、そうではありません。

ゼレンスキー大統領はもともと暗号通貨に対して、否定的ではありませんでした。
規制体制の問題であって、新しい規制機関を設立するには費用がかかり過ぎるため、承認しなかったのです。

その解決案として、ゼレンスキー大統領は既存の機関である国家証券・株式市場委員会が監督を行うことを提案しました。
そして、その提案が盛り込まれたため、ゼレンスキー大統領は暗号通貨の合法化の法案に承認したのです。

ウクライナの暗号通貨合法化の理由は戦争のためではありません。
もっと先にあります。

ウクライナ政府は暗号通貨を将来の成長分野に位置づけていて、本気で暗号通貨で成長しようと考えているのです。
暗号通貨の法制度と環境を整えて、スタートアップ企業を誘致し、暗号通貨産業を大きく成長させるのが合法化の狙いです。

ウクライナの暗号通貨の合法化は、戦後を見据えた戦略なのです。

ロシアのビットコイン事情

一方、ロシアは暗号通貨に対して否定的でした。
しかし、ウクライナ侵攻後、ロシアの暗号通貨に対する方針は大きく変わりました。

暗号通貨に対する方針を転換

ロシア中央銀行はもともと、暗号通貨の取引、マイニング、所有に対して全面的な禁止を支持しています。

しかし、西側諸国の制裁により、暗号通貨を取り巻く情勢が少しずつ変化していきました。

2022年3月24日、ロシア連邦議会エネルギー委員会のパヴェル・ザヴァルニー委員長が天然資源の輸出の決済にビットコインを受け入れると発表しました。

同日、ミハイル・ミシュティン首相は「ロシアの金融システムはビットコインなどの暗号通貨の流通メカニズムが必要である」と述べ、暗号通貨のロシア経済への導入を促しました。

4月20日、ロシア連邦税務局(FTS)はロシア企業が国際取引の際、登録された暗号ウォレットと取引所で暗号通貨を利用できるよう提案しました。

4月末、ロシア国内の暗号通貨導入拡大のため、ロシア中央銀行は証券取引所に暗号通貨の運営許可を提案しました。

5月中旬、ロシアの産業貿易大臣はインタビューで「ロシアは遅かれ早かれ暗号通貨の決済を合法化する」と発言しました。

6 月初旬、ロシア連邦議会は暗号通貨の決済を禁止する法案を提出しました。
暗号通貨を受け入れる流れになったロシアですが、否定派も出てきて、国家として暗号通貨をどう扱うか悩んでいることがわかります。

9月下旬、ロシア中央銀行と財務省は国境を越えた決済に暗号通貨の使用許可することに合意しました。
結局、ロシアは暗号通貨を受け入れる方針に定めました。

ロシアは暗号通貨を規制しながら、積極的に導入を進めていくことになりました。

マイニングの増加

ロシアはビットコインのマイニング量第3位の国でした。
安い電気代がその理由です。

ビットコインのマイニングには多額の電気代がかかり、大きな問題となっています。
ビットコインマイニングの電気代については、こちらの記事を読んでください。

ウクライナ侵攻により、ロシアのマイニングは西側諸国の制裁の対象となりました。

4月、ロシア最大規模のマイニング企業ビットリバー(BitRiver)がアメリカの制裁対象となりました。
そのため、アメリカのマイニング企業コンパス(Compass)はビットリバーとの取引を停止しました。
日本のSBIもビットリバーから撤退しました。

これにより、ロシアのビットコインマイニングは激減すると思われました。

しかし、蓋を開けてみると、制裁にあったのはビットリバーだけで、他のマイニング企業は採掘を続けています。

ヨーロッパやアメリカの古くからの顧客はロシアのマイニングから手を引いておらず、それどころか新しい顧客が増えている状況です。
ヨーロッパやアメリカの電気代が高騰する中、ロシアの安価な電気代は魅力に映るということです。

しかも、かつてのマイニング世界一の中国が2019年にマインニングを禁止、第2位のカザフスタンが新しい税金制度の導入でマインニングコストが割高になり、他に良い選択肢が無いこともロシアのマイニングを後押ししている背景です。

さらに、2022年7月5日、ロシア中央銀行がロシア国内のマイニング活動の合法化に同意すると発表しました。

9月下旬、ロシア中央銀行と財務省は暗号通貨のマイニングを規制する法律にも合意し、水力発電や原子力発電がある地域での暗号通貨マイニング活動を許可しました。

なので、今後ロシアのビットコインのマイニングはますます増える可能性があります。

ロシアはウクライナ侵攻により、ロシアのマイニングは強固なものになりました。

ロシアウクライナ戦争下でのビットコイン売買戦略

ロシアウクライナ戦争は予想に反して長期化しています。

ロシアはウクライナの疲弊をさせるため長期戦も辞さない覚悟しているという情報もあります。
なので、ロシアウクライナ戦争はさらに長期化する可能性が十分にあります。

そして、現在、ビットコインは有事の資産とはなっていません。
なので、ビットコインも長期間低迷する可能性があります。

そんな長期化するかもしれない市場で、取るべきおすすめの戦略を紹介します。

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法は一定の金額を定期的に投資し続ける手法です。
価格が安い時は多く買え、価格が高い時は少ししか買えないため、平均購入単価が安くなるというメリットがあります。

長期的に価格上昇が見込まれるものに投資する時におすすめの方法です。

なので、「ビットコインの価値はこんなもんじゃない!いずれは史上最高の770万円を超えるはず」と考えるのであれば、長期間続くかもしれない弱気相場はむしろ絶好のドルコスト平均法で購入する絶好のチャンスと言えます。

ただし、ドルコスト平均法はすぐには効果が見えず、また下がり続ける市場で買い続けるのは強い精神力が要るというデメリットがあります。
そこで、ドルコスト平均法を行うのであれば、自動積立が良いです。

レンディング

レンディングは、暗号通貨を取引所に貸し出して、見返りに利息を貰うという仕組みです。

暗号通貨のレンディングは利回りが高く、利率5%というのはざらです。

しかし、貸し出している期間中は売買できないので、急な価格変動に対応できないというデメリットもあります。
ただし、長期間保有する意思や塩漬けしているのであれば、急な価格変動が起きても関係ありません。

レンディングについては、メリット・デメリット、始め方、おすすめの取引所をこちらの記事にまとめましたので、お読みください。

まとめ

ロシアウクライナ戦争は新型コロナウィルスと共に、世界中の経済に大きな影響を与えました。

当初は短期間で終わると終わった戦争も長期化。

エネルギー価格の高騰でインフレになり、世界経済は停滞しています。

ビットコインは有事の際の資産にはならず、低迷を続けています。

しかし、戦争当事国では暗号通貨の寄付や合法化やマイニングの活況など、暗号通貨の新たな流れが始まりました。

ロシアウクライナ戦争が終わったら、暗号通貨は大きく変わるかもしれません。

そんな暗号通貨の未来に備えて、弱気相場の今のうちにドルコスト平均法で購入し、レンディングで稼いで乗り切るのはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

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