SEC VS バイナンスの戦い、バイナンスUSは資産凍結を回避！

米証券取引委員会（U.S. Securities and Exchange Commission：SEC）は6月6日、暗号通貨取引所バイナンス（Binance）を提訴した。

SECは提訴と同時に、米コロンビア特別区の地方裁判所にバイナンスの米国法人バイナンスUS（Binance.US）の資産を凍結するよう要求した。

バイナンスUSは資産を凍結された場合、事業を継続できなくなるため、これに対し、バイナンスUSは6月12日、SECからの資産凍結の申し立てを却下するよう裁判所に書類を提出し連邦判事に要請した。裁判所は6月13日、話し合うよう命じた。

6月17日、SECのバイナンスUSの資産凍結に関する結論が出た。コロンビア地区裁判所エイミー・バーマン・ジャクソン（Amy Berman Jackson）判事はSECとバイナンスUSとの合意を承認し、バイナンスUSの資産凍結の一時的な差止命令を取り消した。

しかし、バイナンスには一定の制限が設けられた。米国顧客の資産にアクセスできるのはバイナンスUSの従業員のみで、バイナンスグローバルの従業員はコールドウォレットとホットウォレットを含むすべてのウォレットの秘密鍵、その他のハードウェアウォレット、バイナンスUSの社内システムとコントロールへのアクセスが制限される。なお、米国顧客は資金を引き出すことができる。

また、バイナンスはバイナンスUSに関連するすべての法定通貨および暗号通貨を米国に送還しなければならず、バイナンスUSは事業運営以外に資金を使うことができない。さらに、バイナンスUSは事業費用や見積もり費用を含む詳細な財務諸表をSECと共有することになる。

SECは今回の合意に対し、バイナンスが顧客資産を持ち出すのを防いだため、勝利したとみなしている。一方、バイナンスも、SECがバイナンスUSを閉鎖させる目論見に失敗したとして、勝利したとみている。

バイナンスCEOチャンポン・ジャオ（Changpeng Zhao、通称CZ）氏は、「我々は、SECの資産凍結要請は全く不当であったと考えるが、この要請を巡る意見の相違が相互に受け入れられる条件で決着したことに喜ばしく思う」とツイートした。

Although we maintain that the SEC's request for emergency relief was entirely unwarranted, we are pleased that the disagreement over this request was resolved on mutually acceptable terms.

User funds have been and always will be safe and secure on all Binance-affiliated…

— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) June 17, 2023

バイナンスはSECの提訴に対して、徹底抗戦の姿勢を示している。バイナンスUSは、「SECがこれまでバイナンスによる顧客資産の不正使用に関する証拠を提示したことは一度もない」ことを強調した。また、バイナンスは、「SECの要求は、我々のビジネスを事実上停止させるものであり、裏付けがない申し立てをすることを含め、あらゆる手段で暗号業界を潰そうとするSECの一連の取り組みである」と公式サイトでコメントした。

バイナンスは資産凍結を回避したものの、まだまだ厳しい状況に置かれている。

世界中の暗号通貨、トークン、プロジェクトの安全性と信頼性を評価するWikiBitでは、バイナンスのスコアは9.23、バイナンスUSのスコアは9.01である。